※ロリコンでちょっと気持ち悪いイヅルくんと訳あってぶりっこしてるルキアちゃんがいます。ご注意を。





僕はロリコンじゃない。決して、ロリコンじゃない。
年下で可愛い女の子が好きなだけなんだ。だから今日女の子と待ち合わせしているのも、適当に服とかを買ってあげて、ご飯を食べて、日々の疲れを癒そうとしているだけなんだ。
それ以外をしようとは全くこれっぽっちも思っていない。うん。
今日会う子の一応プロフィールは知ってる。運動が得意でうさぎと苺が好きな私立の中学生。顔も十分可愛い。服は白のワンピースで三つ編みをしているらしい。

「……吉良、さん、ですか?」

可愛らしい声にびっくりして僕は振り返る。……ちょっと待って。天使がいるんだけど。

「あ、はい。…ルキア、ちゃん?」
「はい、ルキアです!」

僕と三十センチ以上身長の違う女の子がにこっと笑う。何この子。予想以上に可愛いんですけど。もっとすれた子かと思ってたら…!
とりあえずゆっくり話そうと近くのスイーツショップに向かう。

「吉良さん、背、高いんですね。おまけに金髪ですし、かっこいいです!」
「え、そうかな。これ生まれつきなんだよね」
「そうなんですか! すごいですね」

苺のパフェを食べながらルキアちゃんはにこにこ笑う。あーもう可愛い。好きなものを頼んでいいって言ったけどこれだけでいいって言うし、控え目な子だ。

「吉良さんは食べないんですか?」
「あー、甘いものあんまり好きじゃないんだ」
「えっ! じゃあここにいるの辛くないですか?」
「大丈夫だよ。ルキアちゃん、苺好きでしょ? 苺のスイーツがいっぱいあるからここにしたんだよ」
「えー吉良さん優しい! そういう人ってモテますよね」
「いやー全然だよ。彼女いたことないし」

これは本当の話。昔から女と喋れなくて、母親以外の女と口をきいた記憶が全然ない。男友達は出来たから良かったけど、おかげでホモだと鬱陶しい噂を立てられたこともある。
違う! 断じて違う! 僕はただ可愛い女の子が好きなだけなんだ! 何にも知らない純粋な女の子となら話せるんだ!

「えっー、嘘ですよね? 絶対モテますよね?」
「いや、ほんとほんと。年齢イコール彼女いない歴だから」
「でも告白くらいはされますよね? それとも自分から押していく方ですか?」

やっぱり思春期だからだろうか、ルキアちゃんは僕が「モテる」ということが気になるようだ。そういう早熟した子も好きではある。

「いや、全然ダメなんだよね。まず喋れないんだよ」
「案外奥手なんですね。向こうに引っ張っていって欲しいタイプですか?」
「うーん、そうだね。積極的な子が好きだなあ。僕、優柔不断だから」
「でもこのお店って吉良さんが選んだんですよね?」
「ルキアちゃんに喜んで欲しいからね」

……そんな甘い台詞を吐けば大体の女の子は落ちる。それは、僕が人生の中で知りえた貴重な事実。相手を持ち上げて自分を下げていれば、女という生き物は満足する。
誰かの悪口で盛り上がっているならば、適当に同意を示していれば納得している。女の話はただ聞くだけでいい。
それがこんなまだ子供ならば、効果は絶大だ。
案の定、ルキアちゃんは微かに頬を赤らめている。ほんとこの子何しても可愛い。

「それヤバいですよ! そんなこと言ったら絶対吉良さんのこと好きになっちゃいますって!」
「ルキアちゃんも上手だね。あ、付いてるよ。ここ」

ほとんど力仕事をしない僕の指はきれいだ。指は唯一僕が自慢できる部分だ。爪もきちんと切っているし、さかむけや荒れも起こさないよう気遣っている。体毛が薄いのもプラスに働いて、大体の子は嫌がらない。
……この子、とーっても柔らかい。このすべすべと柔らかさが僕はとても好きだ。

「あ、ありがとうございます!」
「いいよー。……あ、おいしい」

そういえばここにはパフェの他にケーキやアイス、チョコフォンデュなどもある。…たまには食べてみようか。

「あの、吉良さん?」
「うん」
「これ、いいですか?」

彼女が指差すメニューを見ると、艶やかな苺のタルトが載っている。ほんと苺好きだなあ、この子。

「ああ、大丈夫だよ」
「……こっちの、大きいほう、ですけど」

一切れじゃなくて、丸ごと? 僕が問うと彼女は小さく頷いた。でもさっきのパフェも店で一番大きいやつだった。まだ食べるの? 大丈夫?
いっぱい喋るからお腹が空くんだろうか。それとも別腹ってやつ?
僕が女の食欲に呆れていると彼女が首を横に振った。三つ編みマジ可愛い。

「駄目ですよね? やっぱりこの小さい方で、」
「すみません」

僕はウェイターに苺のタルトホールを頼んだ。そしてルキアちゃんを見ると、呆然としている。

「どうかした?」
「いえ……いいんですか?」
「うん。さっきの食べたら美味しかったから、僕も食べたくなっただけだよ」
「あ、ありがとう…ございます……」

……ほんとこの子、天使じゃないの。ほっぺた赤くして。じっと僕のこと見て。今時珍しいくらいに純粋だ。なんでこんな子が出会い系やってるんだろ。
苺のタルトを食べながら僕はルキアちゃんの生い立ちを聞いた。
両親の離婚。たび重なる引っ越し。転校によるいじめ。……まるでドラマみたい。これ、実は何かのドキュメンタリーだったりしない?
おまけにその白いワンピースが母親の思い出とか言い出して、僕は大変だねくらいしか言うことないんだけど。でもルキアちゃんは、

「――だから、年上の人に甘えたくなるんです。お父さんみたいで」

とか言うんだよ。思わず「えっ、僕ってお父さんなんだ」って茶化したら

「吉良さんは違いますよ! お兄ちゃん、かな?」

はいお兄ちゃんいただきました! そりゃそうだよ僕まだ二十代前半だもん。お父さんにしちゃ若いよ。
ていうか、もう決定。お持ち帰りする。
色白で三つ編みで白いワンピース着た中学生に上目遣いで「お兄ちゃん」とか言われて、催さない奴いないでしょ?
今までの子はみんなコスプレさせて終わりだけど、この子はヤバい。絶対何着ても似合う。

「…あのさ。服、買いに行こう。買ってあげるから行こう」
「えっ、いいですよ別に。タルトまで頼んだのに…」
「安いから大丈夫だよ。それに、ルキアちゃんは可愛いんだからもっとおしゃれしたらいいと思うよ。いや、今のままでも十分可愛いけど」

そうだよきゅっと細い足首とか裾からちらちら覗く膝小僧とか脇とかもうたまらない。写真撮りたい。

「でも私、服とかいまいちよく分からないんですよね。着れればいいと思ってたので」
「じゃあ、僕が選んでいい? ルキアちゃんの趣味に合わないかもしれないけど」
「はい。お願いします」

むしろこちらこそお願いします。一番のお楽しみきたよー。
とりあえず僕らは電車に乗って裏通りに向かう。裏通りならロリータも制服もゴスロリも売ってる。了解は既に貰っているから何でも着せ放題だ。
うん、でもさ。何だかんだで主導権握ってるの、おかしくない? あれ可愛いとかこれいいとか、割とさくさく買わせるんだけど。まあ結構彼女の好みに合ってたみたいだし、いいんだけどね。

「僕ら結構趣味合うみたいだね」
「そうみたいですね!」
「あと僕さ、ドール好きなんだよね。知ってる?」
「知ってますよ! あれ高いんですよね?」

アルバイトが出来ない中学生からすればドールは高いけれど、女の子にしかお金をかけない僕には余裕がある。この前だって新しいドール服を買った。
ルキアちゃんはドールについてすごく興味を持っている。やっぱり可愛いものが好きなのかな。
……これだけしたんだから、もういいよね? もうさっきから限界なんだけど。

「じゃあさ、家来る? ドール見せてあげるよ」
「え、いいんですか!?」
「もちろんだよ。散らかってる家だけど良かったら」
「ありがとうございますー!」

また僕のアルバムに可愛い子が一人、増える。



僕の家は駅から歩いて数分のところにある。一応掃除しといて良かった。

「ごめんね、うるさくて」
「いえ、大丈夫です。それより、駅から近いって便利ですね!」
「まあ見ての通りボロいし、電車は五月蠅いしでそこしかいいとこないんだけどね」

そういえば彼女は、今は親戚の家に引き取られて住んでいると言っていた。私立に通っているのだからそこはお金持ちなのかもしれない。

「ジュースとかないから紅茶でいい?」
「あっはい!」

僕はコーヒー。彼女には冷たいアイスティー。作って持って行ったら、僕のドールをじっと見てた。きらきら目を輝かせて、すごく楽しそう。
ていうか座り方かわいい。正座じゃなくてもいいよって言ったら、膝を崩してぺたっと座ってる。

「はい」
「ありがとうございます!」

アイスティーを渡しながら上から覗き込むと、ワンピースの胸元から薄い胸が見える。今時の子にしては貧乳だ。でもだからこそ好き。
まだ固そうだけど、成長期だしすぐに大きくなってしまう。ていうか、下着付けてないよこの子。雨で濡れたりしたらヤバいでしょ。
彼女はやっぱり甘党らしく、砂糖を沢山入れてた。……僕の入れた睡眠薬が紛れてしまうくらいに。
僕はしばらく彼女にドールの話をした。値段はこれくらいで、インターネットで買って、ドールオーナー同士のコミュニティサイトがあるとか。
時間はあっという間に過ぎて、西日が台所の窓から差し込んでいる。
ルキアちゃんの瞼が少しずつ、少しずつ下がってきている。はっと時々大きく開けるけどやっぱり下がる。もうちょっともうちょっと。

「……あのさ、ルキアちゃん?」
「はい」
「どこか体調悪いの? さっきから顔赤いよ」
「え、あ、大丈夫ですよ。ちょっと寝不足ですけど…」
「手だってこんなに温いし。しばらく寝とく?」
「い、いえ! それはちょっと…」
「あ、やっぱり男の布団だし嫌だよね」
「そういうんじゃなくて……失礼かと思って」

半分閉じかけた瞼でよく言うよ。眠りたくて仕方ないくせに。入れた薬、病院で処方されてるやつだからめちゃめちゃ効くよ。僕はもう効かないけど。
ていうか、出会い系やってて男の部屋に一人で行く癖に、こういうことは固辞するんだ。よく分かんない子。
そういえば、僕って「お兄ちゃん」なんだよね。

「よし。おいで、ルキア」

なんて、手を広げてやる。まあ来ないよね。来たら来たでおかしいでしょ。

「なーんて、…………えっ」

ぽすっと小さな体が僕に倒れこんでくる。えっちょっと待ってマジでマジなのこれ。
思わずルキアちゃんを見る。寝てる。ほっぺた突く。柔らかい。うん、マジだこれ。
さて、寝てしまえば起きるまでこっちのものだ。僕は彼女をベッドに寝かせる。
扇風機からの温い風にルキアちゃんの前髪が揺れる。うっすらと汗をかいた顔はやっぱり子供っぽい。この子、あんまり外に出かけないんだろうね。肌が白すぎる。
僕は音が出ないように改造したポラロイドカメラを構える。これはオカズ兼ポスター用。
カメラを覗きながら僕は溜め息が出る。
かわいい。すごくかわいい。そして、きれい。
首から胸元。胸から腹。腰から膝。膝から下。部分的に写真を撮りながら僕は息を押し殺す。
どうしてこんなにきれいなんだろう。すぐになくなっちゃうからきれいなのかな。人間って儚いものに魅かれるって言うし、別にこれくらいいいよね。
ポラロイドカメラの次は一眼カメラ。これはアルバム用。
撮る部分はさっきと同じ。いつもなら一部しか撮らないけどこの子は別。全部がすごくきれいだから全部撮る。起きてたらポーズとか撮らせるけど、眠らせちゃったから仕方ない。
僕は立ち位置を変える。あの胸元。もうヤバい。さわりたい。すごくクる。あと、足。見えるか見えないかが大切だから、ちょっとだけ足を崩す。足首なんか腕と同じようにすごい細い。
ほんと、中学生っていうより小学校高学年って言っても通じそうな感じ。久々にいい子に会えた。
一通り写真を撮り終えて、僕はトイレに行く。さっきからすっごいキテてヤバい。一回抜いておかないとこの先、危ない。
でも、僕は腕を掴まれた。
びっくりして振り返ったら、ルキアちゃんが起きていた。なんで? 薬、効いたよね? なんで起きてるの? 呆然とする僕に彼女は得意げに笑った。

「(へんたい)」

小さな唇がそう動いたその瞬間、僕は下半身が痛いくらいに膨張した。まるで自慰行為を覚えたばかりのころのように。
とにかく否定しなくちゃ。僕は平然を装って声をかける。

「あ、起きたの。大丈夫?」
「吉良さん、変態」
「え? 何が?」
「写真、撮ってた。足、触った」
「えー? そんなことしてないよ」
「うそ」

そのまま僕はルキアちゃんに引っ張られた。ふらついて、ベッドに手を突く。

「しよ」

中学生のくせに大人みたいなことを言う。清純そうに見えて、案外遊んでる子なのかな? まあそういう子も好きだけどさ。
でも今は色々五月蠅いから拒否しておく。今までだってそうしてきた。お金を握らせて帰らせたこともある。

「え? 何を?」
「セックス、しよ?」
「……まだ半分寝てるみたいだね。もうしばらく寝といた方がいいんじゃないかな」
「私が帰った後、撮った写真で一人でするの?」
「だから写真なんか撮ってないよ。夢でも見たんじゃないの?」
「私、処女だよ」
「へえ。今時珍しいけど、まあ普通はそうだよね」
「お兄ちゃん」

さっきの僕みたいに、彼女も「お兄ちゃん」を利用してきた。だいぶ賢い子みたい。
そう思いながら、僕は彼女に近付いた。一回くらいなら、いいや。そんなこと思っちゃって。慣れてそうだし、いいかと思って。
それが僕のファーストキス。ルキアちゃんは長い睫毛がきれいで、目がくりくりしていて。触れた唇はすごく柔らかくて、気持ち良くて。
それから僕は彼女に覆い被さって、自由を奪った。彼女の手は僕の片手で押えこめるくらい小さい。

「無理矢理とか、好き?」
「好き。縛っていいなら縛るけど」
「それは嫌。痕残ったらうるさいから」

うるさい。誰が? ――――保護者が。
僕は背中に冷や汗が流れてゆくのを感じた。

「……あのさ、」

やっぱり止めよう、と言いかけて僕の視界が急に回転した。一瞬だった。気が付けば僕は天井とルキアちゃんを見上げている。

「? え?」
「ぐだぐだ五月蠅い奴だな。全く」

さっきまでの可愛らしい声じゃない。顔は同じだけど、目つきが違う。

「いつまでもはっきりせん奴だな、お前は。いかにもモテなさそうな顔だし」
「え? え?」

ルキアちゃんは僕に跨っている。で、僕は動こうとする。でも、動けない。縛られているわけでもないのに。

「え? どう…え? え?」
「感謝しろ。お前の童貞は私がしっかり貰ってやる」
「童貞って…あのさ、ッあ!」

彼女の手が僕の身体を撫でる。これ、逆じゃない? 僕がやることじゃない? ていうか、おかしいよこれ。
なんで彼女が上になってるの。ヤバいよ、これ。確かに僕童貞だけどヤバいこれ。

「ルキアちゃんって、二重人格とか?」
「ああやっておけば皆すぐに襲ってくるからな。理性を失った男ほど扱いやすいものはない」
「じゃあ君、処女じゃないんじゃない?」

ルキアちゃんが首を傾げる。かわいい。違うそういう場合じゃない。でもかわいい。

「いや、処女だぞ。口でしかしたことないからな」
「…ああ、そういうこと」

じゃあ僕が下になる意味はあるの? ないよね? 口だけなら彼女が下で済む話でしょ?
にやりとルキアちゃんは笑う。

「皆お前みたいな奴ばかりだったから、簡単だったな。すぐにベッドに連れ込んでしようとした」
「うん」
「でも結局は私が優勢になる」

ぐっとルキアちゃんが僕に顔を近付ける。微かな苺の匂い。あの時は可愛らしい中学生だったのに。

「少し頭が切れる奴はお前みたいに薬を入れた。おかげで大体の薬は効かなくなってしまったがな」
「そうなんだ。じゃあさっきのは演技?」
「そうだ。汚らしい手で体を触られるのはごめんだからな。こうやって唇を許すのも、お前が初めてだ」

そう言って、ルキアちゃんはまたキスをする。ぬるりと舌が、僕の歯を、なぞって。まるで味見をするみたいに。
それから、床に放置されたカメラに目を遣る。

「すぐ側にあるのに手を付けず、虚像で慰めるか……理解し難いな」
「…放っておいてよ」
「良いのか? このままで」

ルキアちゃんの手が、僕の股間に伸びる。ズボン越しなのに、軽く撫でられただけですごく気持ちいい。
まずい。非常にまずい。このままだとかなり恥ずかしい姿を晒すことになる。

「とりあえずさ、退いてよ。口でするんだったら僕が下になる必要ってないよね? ……?」

ルキアちゃんは少しだけ口を開いて指差す。それから、ワンピースの裾を少しだけ捲る。ちょ待って見える見える! 写真撮りたいんですけど!
僕が抵抗できないのをいいことに彼女は、出会ったときのあどけない話し方で訊く。

「口と、こっちと、どっちがいいですか?」
「……そっち、で」
「そっちって? どっち?」
「下、で」
「下?」
「っ…今、当たってるとこ」

僕の希望を訊いた彼女はすごく嬉しそうに笑う。苺のタルトホールを食べていた時みたいに、さ。もう抵抗できないよ、僕。
童貞差し上げます。この子に。
ルキアちゃんは僕から下りて、ズボンのチャックに指を掛ける。

「ズボンの上から丸わかりだな。そんなに入れたいのか?」
「…別に。男の生理現象だから」

何がおかしかったのか、ルキアちゃんはくすくすと笑う。ほんと、よく笑う。そしてかわいい。
チャックを開けると開放感を得る。僕は既に下着に小さな染みを作っていた。あの時、この子が起きなければこうなりはしなかったのに。
小さな口が、僕の下半身に噛みつく。下着越しに柔らかい、温かい感触を感じて僕は思わず身をよじる。

「なかなか立派なものを持っているではないか。ほんと、顔が問題だな」
「は? 放っといてよ」
「そうそう。そうやって反抗してくれ。愉しくない」
「反抗って…普通、そうやって貶されたら文句言うでしょ…んッ!」

音を立てて彼女は僕のそれを下着越しに吸う。

「そん、なっ…っ!」

僕はセルフフェラができるほど軟体じゃない。風俗とかも興味がなくて行かない。だから、フェラももちろん初めて。
熱い舌が下から舐め上げてきて、先っぽをじゅるっとわざと音を大きくして啜る。ヤバい。何なの、これ。頭、飛びそう。

「も、だ、めやだ…っア、出る、出ッ――!」

思わず目を閉じちゃって、開けたら満足したようなルキアちゃんが、指で何かを取っている。白くてねばねばしてる、あれ。
……僕は、出したらしい。

「濃いな。溜まっていたのか?」
「……五日、くらい」
「そうか」

精液で下着が張り付く気持ち悪さが飛んでいく。僕が出したものを、きれいに舐め取るルキアちゃんが、すごくえろい。
……今までアダルトビデオとかに手を出したことはないけど、これを機に出しそうでヤバい。
こくん、と小さく飲み込む音がする。…まさか飲んだの?

「早いな、お前」
「…何人もやってきたのに、そういうこと言うんだ」
「黙れ童貞」

さっきから彼女は僕のことを「お前」「童貞」としか呼んでいない。せめて名前で呼んでくれないかな。「お兄ちゃん」だしさ。

「あのさ、お前って呼ぶの止めてくれない? せめて名前で呼んでよ」
「何だ。お前はそういうのは嫌いなのか?」
「そういうのって?」
「皆『お前』と呼べばすごく嬉しそうだったぞ。罵れと言われたこともあるしな」

ああ。そういうプレイですか。好きではあるよ。でもさ、今はそういう気分じゃないんだよね。
躊躇う僕はあっという間にずるんと下着を剥ぎ取られ、下半身を外気に晒される。

「…何故顔を背けているのだ」
「いや、なんか……その…」

まさか恥ずかしいだなんて、口が裂けても言えない。誰かに性器を見られたのは両親以来。もうさ、恥ずかしくて死にそう。いった上にいきそう。
でもルキアちゃんはお構いなしに手で扱き始めて、また硬くなってきて。

「んんっ…ぅ」
「恥ずかしくないのですか? 中学生にこんな姿を晒して」
「何、言って…ん、ん!」
「こっそり写真撮って、オナニーして。それもバレてこんなふうに遊ばれて。すごく恥ずかしいですね」
「はず、かしくなんか――ん、あぁッ!」
「吉良さんのこと、ちょっと尊敬してたんですよ? すごく残念です」
「っこの…!」

賢いどころじゃない、この子。男の思考を分かり切ってる。マジでツボを突いてくる。
おかげで僕は、また早々にいかされてしまった。
手に付いた精液を舐め取りながら、ルキアちゃんはすっと立ち上がる。
何をするのかと見上げていたら、裾を上げて…………下着を、脱いだ。色は白。あまりにテンプレ通りだ。
で、また僕の上に跨る。見えるか見えないか微妙に裾を上げながら。
萎えた性器に感じる、熱。
またルキアちゃんはくすくすと笑う。

「お前、ほんと元気だな」
「…そんなんじゃ、ない」
「ほら」

潤滑油代わりの精液と確かな肉の感触。けれど重要な部分は裾で隠れて見えない。
ぬる、ぬるとすごくゆっくりとした動きを僕はじれったく思っていた。さっきみたいに、激しく扱いて欲しい。でもプライドが邪魔をする。
多分向こうは僕が折れて言うのを待ってる。駄目だ。言ってなるものか。それにこれって騎乗位ってやつだよね? 僕に主導権があるはずだ。

「――っ、あのさ」
「うん」
「……れて」
「え?」
「…入れて、いい?」

訊いた途端、僕は情けない声を出した。きゅっと彼女に玉を掴まれたから。生殺与奪。生かすも殺すも彼女次第。僕はこれでほとんど折れた。

「言い方がなってないな」
「言い、方?」
「『入れさせてください』」

ゆらゆらとルキアちゃんの三つ編みが揺れる。入れさせてもらったら、もっと激しく揺らすことができる。三つ編みだけじゃなくて、あの胸も。
僕は、彼女に傅いた。

「入れさせて、ください――」
「はい、よく出来ました」

ずぷっ。そう表すに相応しい感触だった。
熱くて狭い肉の感触。触れ合う肌。襲ってくる放出感。少しずつ膝が折れて、ルキアちゃんはゆっくりと僕の上に座る。
はっ、と短く息を吐いてルキアちゃんがまた笑う。

「童貞を卒業できた記念に一言」
「気持ち、いいです…」
「素直でよろしい」

ずるっと引き抜かれる感じ。けれど全部を引き抜かず、途中でまた下りてくる。単純だけど、意識が飛びそうなくらいに気持ちがいい。

「あ、ぁっ! だめ、ル、キアちゃん…また、出るっ…」
「出せばよいではないか」
「でも、中に出したら…はぁっ、あぁっ!」

僕、男だよ? でも中学生の女の子に童貞奪われて、あんあん喘いでる。おかしいなあ。
おかしいって言ったら、ルキアちゃん、全然喘がないんだよね。汗もかいてないし、不感症なのかな。

「あ、だ、めそこすごぃイイっ…ゃ、また出ちゃう…っ!」
「出せばよいと言っておるではない、かっ」

ぐちゅっと一際大きな音がして、僕は我慢の限界だった。
あれだけ恐れていた、事態を起こした。
出したはずなのに飛び散っていなくて。萎えたはずなのにたっていて。で、ルキアちゃんは満足そうな顔。
急激に襲ってくる虚脱感。俗に言う賢者タイムってやつ。僕は荒い呼吸をしたまま、目を閉じた。気持ち良すぎて現実かどうか分からない。馬鹿だなあ。
苺のケーキもタルトホールもアイスティーも、全部本当だって分かってるのさ。

「中に出してしまったな」

出していいって言ったのそっちだよ。知らないよもう。

「今のところ、お前が一番持ったな」

何が?

「私は、中学生ではないのだよ」
「はっ!?」

思わず飛び起きると、ルキアちゃんは少し驚いた顔をしている。

「中学生じゃないってどういうこと!?」
「偽りの身分だ。まあ中学生どころか人間ですらないがな」
「はあ!?」

何の冗談だよ。ああ、もしかしてメンヘラさんかな? だとしたら面倒くさい子だ。

「私は淫魔・サキュバスだ。俗に夢魔と呼ばれているな」
「…え?」
「濃くて新鮮な精を求めていたのだがなかなか合う奴が見つからんでな。お前なら良さそうだ」

言うとルキアちゃんはぴたっと僕に抱きついてきた。かわいい。違う、何だこの子!
サキュバスとかエロゲの中だけでお願いします。現実にはそういうのいないから。
広がっている彼女の裾から何かが見えている。そっと捲ると、黒い尻尾が見えた。まさか、ね。捲っていくと尻尾はお尻の方まで伸びている。で、その下は……。
継ぎはぎ、なし。特殊メイクでもない。僕は急に頭が冷めてきた。

「なんだ。もう一回するか?」
「し、ない。もう、だめ」
「えーっ。つまらんぞ!」

ルキアちゃんの脚が僕を捕まえる。あ、これが俗に言う恋人繋ぎってやつ? えっ、違う? なんかもういいや。
とりあえず、この子を何とかしよう。さっさと帰らせよう。

「あのさ、とりあえずお風呂入って」
「何だ。風呂でするのか?」
「しないって!」
「強情な奴だな。すぐに元気になるくせに……」

きゅっとルキアちゃんが、繋がっている部分を締める。うっかり反応しかけて、また情けない声が漏れる。
三つ編みが解かれ、艶やかな黒髪が首筋に纏わりつく。耳の上あたりから急に生えてきたのは白の短い角らしきもの。
本物、ですか。

「私と契約したのだから、毎日最高の快楽を味合わせてやろう。死ぬほどに、な」